予防と健康管理ブロック・レポート
1、始めに
今回、「鬱病」と「アスベスト」という近年世間からも注目されている事柄についてのビデオを見て、私達の生活により身近な「鬱病」を題にして調べた事を書き、自分の考えを書きたいと思う。
2、選んだキーワード
mental health, labour
3、選んだ論文の内容の概略
題名:リトアニアにおける失業期間の持続と鬱病の関連性
概略:経済が成長しているのにも関わらず、失業はリトアニアの厳しい社会経済問題である。それにも関わらず、リトアニアにおける失業とメンタルヘルスとの間での関連性に関する研究はほとんどされていなかった。
この研究の目的はリトアニアの失業持続時間と鬱病との関連性を評価する事である。
方法:データは2005年に断面調査で集められた。Kaunas Lobour Market Officeに登録された失業者からアンケートがある。憂鬱兆候の厳しさはBDIを使用する事で評価された。
(BDI:鬱的な兆候の厳しさを測定するのに広く使用されるアンケートで、鬱病の認識・動機づけ・情緒的行動の兆候についての21の質問。)
Logistic regressionは憂鬱発生のために危険因子を見積もるのに使用された。性別・時代・居住地・結婚歴・教育・収入・および実践された地域は独立変数で、長期失業者は12ヶ月以上の失業を経験した人と定義する。
結果:短期間の失業者の集団と比較すると、長期間の失業者は過去12ヶ月でより多くの鬱性のエピソードを持っている。加えて、長期失業者はBDIスコアの平均が短期失業者より高い。短期失業者は、
@女性A高齢だと、より多くの鬱性のエピソードを持つ。加齢は長期失業者では、鬱病発生のための危険因子である。しかしながら、高等教育と高収入は長期失業者だけでなく、短期失業者が鬱病を発生する危険性を減少させる要素である。
結論:鬱病は失業者において深刻な問題である。長期失業者の間で鬱病はさらに進行する。これは、メンタルヘルスへの失業の効果を減少させるための必要な社会的支援と健康管理を提供することにおける一般的な努力について賛成の議論をするのに通じる。
4、論文の内容・ビデオの内容・考察
@)論文を詳しく書いてみる。
概略:ほとんどの社会で、雇用はその国の経済的、そして社会的な状況について説明するのに使用される要素の一つである。そのため、雇用の損失が健康状態に非常な影響力をもっている要素の一つであるとも言われている。以前の多くの研究が失業と病気との関係を報告した。フィンランドからの最近の研究では、現行の失業は主な抑鬱性のエピソードに関連していると示している。世界保健機関の文書であるHEALTH21は、健康における社会的不平等に取り組む重要性を強調している。この問題は、急速な社会的・経済的・そして政治的な改革を受ける国々において特に重要である。この様な変化は政治上・社会的な母集団の社会的・人口統計学的・健康状況に影響を及ぼす。
新しく独立した国はシステムの変換における多くの批評に直面していた。リトアニアを例に挙げると、1990年代前半までは失業率は低く、1993年〜2001年の間に徐々に増加していった。
2001年に失業率はピークに達し(16.4%)、2002年以降は失業率は減少したが、それでも8.2%と依然高い。現在、リトアニアには失業者に対する社会的支援システムがあるが不十分で、Kaunas
Labour Market Officeに登録している失業者のうち、失業保険給付金を受けているのはわずか16%で、そのうちの28%以上が長期失業者である。さらに、1998〜2003年の間で精神病の罹患率が34.5%もある。(人口10万人にあたり26536人)
この事は、リトアニアの人々の7人に1人が心理学的・精神療法的・あるいは精神科のカウンセリングが必要である、と示している。そのうえ、リトアニアの自殺率は世界で最も高いグループに属している。(389/100000人)
最近まで、リトアニアにおけるメンタルヘルスと失業との間の関連性を調べるための努力はほとんどなかった。この研究の目的はリトアニアの失業持続時間と鬱病との関連性を評価する事である。
実験:この研究はカウナスというリトアニアの中央地域に位置する2番目に大きい都市で実行された。この都市は商業・産業の中心である。人口は36万6552人で2005年5月のカウナスの生産年齢人口の失業率は3.5%であった。
実験方法は、断面調査を行う。アンケートは2005年2月4日にKaunas Labour Market
Officeに登録された失業者を対象にランダムに配られた。
結果・考察:アンケートの応答者(429人)のうち、153人(35.7%)が男性で、276人(64.3%)が女性で、年齢別に分類すると、25〜54歳が多い。全応答者で見ると、高齢で、より失業を多く経験している女性の場合、鬱病の危険性が上がる。長期失業の応答者に比べ、短期失業者は若く、より教育を受けており、都市部に住んでいる、と示している。 応答者によると、鬱病の浸透は失業の持続時間によって評価された。
短気失業者は高齢で、より多くの鬱性のエピソードを持つ女性なら鬱病の発生率が高くなり、長期失業者の場合は、加齢が鬱病の進行の重要な危険因子である。それに対して、高等教育と高収入は鬱病の危険性を減少させる要素の一つである。
長期失業者は短期失業者に比べ過去12ヶ月でより多くの鬱病のエピソードを持っていたと示された。長期失業者の半分以上が、鬱病は、よりありふれたものになったと示した。
失業は個人に特定の影響力(不安になる、短気になる、注意力・集中力の低下etc)をもたらす。その結果生活様式が消極的になり、アルコール摂取・喫煙・薬物使用に依存し、最終的に自殺、犯罪に従事する傾向に陥りやすい。リトアニアのある研究によると、職を失った人は、自分の健康やQOLが低いと評価し、自分達の将来に悲観的になっていると示されている。また、前述したように失業と自殺には関連性があり、1998〜2003年の間に50〜60歳代の自殺率が上昇していた。
この様に、失業はその人の人生を大きく変えてしまう程、ショッキングな出来事なのである。
A)ビデオの内容
鬱病は体調不良を伴う30代などの働き盛りの人に多い病気で、
昇進・転勤・退職などの職場環境の変化が原因として挙げらている。昔と違って結果が全ての今の社会では、仕事の効率の向上・加重な労働・プレッシャーなどが労働者に重くのしかかったり、職場の中で同僚達とのコミュニケーションの低下によって心の病が多くなっていると考えられる。鬱病は精神的なダメージの他に、血圧の上昇や消火器障害など、肉体的にもダメージを与える。
B)@)A)のまとめ
@)では、失業者の鬱についてのものであったが、A)で見られるように、労働者も精神的・肉体的に追い詰められ、鬱病になりうる。両者の共通の原因として考えられるのは極度のストレスというもので、誰でもなる可能性があり、いつなってもおかしくない病気である。
現在の日本では、多くの人々がリストラにあって職を失い、その結果残った人々がその分を補わなければならないという、悪循環が続いている。今でこそ企業は鬱病になった社員に対する措置として、
@治療ができる様に有給を与える。
A鬱病を克服したあと、一定の研修期間(リハビリ期間)を設けて、社員が自然に会社に復帰できるのを手助けする。
など、社員を見捨てない努力をしているが、まだまだ日本全体には普及していないと思う。医療施設だけでなく、企業も独自の方法で鬱病に対して真剣に取り組むべきだと思う。
また、鬱病になった社員だけでなく、鬱病の症状が出ていない社員にも気を配り、鬱病の拡散を防ぐのも重要ではないか。
鬱とは、決してなまけや疲労ではなく治療を必要とする病気である。鬱病になると、物事に対して悲観的になったり思考力が低下するため、適切な判断ができなくなる。そのために焦りが出てきて、自分を不必要に責めて自殺を考えることもあると聞く。そういう時こそ、必要なのは家族や友人の様な「患者の周囲の人々」である。まずは、周囲の人々が鬱病が治療を必要とする病気であることを十分に理解してもらう必要がある。患者さんの周囲の人々が気をつける事として、
@負担を減らし、安心できる環境をつくる
充分な休養によって回復するまで無理をさせない様にする。
A責めたり原因探しをしない
責められたり原因探しをされると、過去を悲観的にとらえるため、過度に責任を感じてしまう可能性があるから。
B無理にはげまさない
はげましや無理に気分転換で連れ出そうとすると、あせりにつながり逆効果になることがあるから。
Cストレスをためさせない
ストレスが鬱病の一番の原因と考えられているから。
などがある。もちろん、患者さん自身の「病気を治そう」という気持ちも必要である。
鬱病はこれからも日本だけでなく、世界中に広まって多くの人々が苦しむ病気だと強く感じる。鬱病は、今ではれっきとした病気として世間に浸透しているが、以前は鬱病に対して間違った認識が多く、患者さんは辛い日々を送っていたと聞いた事がある。
今でも患者さんに対する対応などはまだまだ改善点が見られると思う。ここで、1人1人が鬱病に対して正しい認識を持ち、万が一自分が鬱病にかかっても、病気を自分なりに受け入れて、医師や看護師などの医療スタッフと一緒に治療に積極的に専念する事が、医師を志す者として望む事である。
今回鬱病について調べたが、予想以上に日常生活に左右される病気だと知った。これからも鬱病など様々な病気に興味を持ちながら学生生活を送りたいと思う。